設計 内藤廣
NHK朝の連続ドラマ「らんまん」の主人公モデルとなった牧野富太郎の庭園です。
博士が亡くなるまで暮らしていた邸宅の跡地につくられた庭園だそうです。
庭園に付属する建物の設計は内藤廣。東京大学名誉教授で三重県の海の博物館や東京であれば赤坂のとらやなどが有名な建築家です。高知に牧野植物園という素晴らしい植物園があるのですが、そこの建物設計も素晴らしいです。
アクセス
練馬の西武池袋線の大泉学園駅近くです。
東京都練馬区東大泉6-34-4
開園時間:午前9時から午後5時
※ただし、企画展と講習室での映像視聴は午前9時30分から午後4時30分まで
牧野記念庭園
庭園は練馬区立の施設なので無料で入ることができます。
決して大きな庭園ではありません。大きめの個人邸庭園といったレベルです。
庭園も一般的な日本庭園ではなく、多様な植栽が植えてある植物園のようです。
沢山の種類の植物が生息している敷地に三棟の建築物が配置されています。
展示室のある棟、書庫と書斎を当時のまま保存している棟、それに受付事務所のある棟。
入口入ってすぐにあるのが事務所のある棟になります。庭園受付となる小さな窓口と、8畳くらいのセミナールームが設置された建物です。小屋のようなこぢんまりとした建物です。外壁は木張で屋根は金属。屋根はむくりがついており、よりチャーミングに見えます。外壁の木は小割になっており、繊細なイメージとともに、厚みのある木材を利用してあるので立地な印象もあります。
展示室のある棟は庭園の中央にあります。切妻の建物で、さきの建物と同様に、外壁は木張、屋根は金属。大きめの住宅といったくらいのサイズ感です。同様にムクリのついた屋根で、低く抑えた庇が庭園に相対しています。庇の下は全面ガラスとなっており、また冊子もスチール製ですのでシャープであり、内部と外部の境界が穏やかに繋がっているようです。
内藤廣は、この庇周りや屋根架構について毎回非常に凝った設計をされています。
構造として合理的であり、かつそれがそのまま繊細なデザインになっています。
それが日本建築にも通づるところがあり、こういった庭園のなかの設計にマッチするのだと思います。
庇は庭に向かって軽い弧を描いています。庭園をゆるく囲い込むようなデザインです。
博士の使用していた書庫と書斎をそのまま保存してある棟については、残念ながら改修中で見学はできませんでした。しかし展示棟とつながる渡り廊下部分はとても落ち着く空間となっていました。小割板張の外壁、光の差し込むルーバー屋根、小割板型枠のコンクリート外壁という、限定された要素で構成された空間。建物規模にあった身体スケールにちかい空間のサイズ感などがとても気持ちよく感じました。
展示室は、博士の来歴や業績、植物画、標本などがコンパクトに展示されています。
展示室は2室あり、もう1部屋は企画展を行っているようです。
私が見学に行った際は、梅と早咲きの桜がとても美しい時期でした。
季節折々に庭園の植物が違った様相で迎えてくれることでしょう。
おまけ情報
豊島園のすぐ南に向山庭園という施設があるそうですが、そちらも内藤廣設計です。
練馬に行く際にはぜひ合わせて見学に行くと良いです。
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