1泊2日で栃木県へデザイン旅行に行ってきました。
宇都宮は東京から電車で90分ほどで着きますので、日帰りでも気軽に行くことができます。
今回訪ねたところ
宇都宮テラス 宮みらいライトビル
デザイン監修:隈研吾
2022年8月に開業した宇都宮駅東口直結の複合施設です。広場、商業施設、ホテル、オフィス、ホールなどで構成されています。1FにはLRTの駅もあります。
テナントもおしゃれなカフェや有名なショップが入っています。
上記は駅の反対側から見た景観です。窓も少なく閉鎖的な印象です。駅からはすぐに広場が繋がり、魅力的な空間になっておりますが、、
案内サインは栃木名産の大谷石にて作られています。大谷石をポップなカラーリングに合わせることで、軽快なデザインになっています。
宇都宮駅から出てすぐ、まずは段々状になった広場で施設と繋がります。
正面にLRTが走っております。左側には施設の外観が見えます。ストライプ状に大谷石が貼り付けてあります。
広場が段々になっているので、イベントによっては段々の部分を観客席として使うこともできそうです。
段々を降りた広場には薄く水が張ってある噴水があります。ここはイベント時には水を抜いてステージ代わりになるはずです。 普段の噴水としても非常にシンプルなデザインで好感が持てます。
宮みらいライトビル館内は上記のように落ち着いた空間です。右側壁面は大谷石です。
天井も一般的な材料をうまく加工してストライプ状のデザインにして壁面と合わせています。
馬頭広重美術館
設計:隈研吾
2000年竣工なので、築20年以上経過した美術館です。和風+ルーバーで作られたデザインとして当時は非常に衝撃的なデザインとして受け止められました。
建物の形状は、シンプルな切妻屋根になっているので、周囲の自然との関係性が際立ちます。
また、建物の素材感も際立ってきます。
建物は地元産の杉をルーバーにして全体を覆っています。
馬頭広重美術館のデザインは非常に評価されたものですが、その理由は以下と思っています。
以前は素材の用いられ方といえば、石材や木材を大きな面厚みをもって利用し、そのテクスチャ、色合いを知らしめるように用いるのがセオリーでした。しかし、この美術館はあえて素材を細かく裂きルーバーにして用いることにしています。今までの素材表現がボリュームと厚みというある意味コストにものを言わせたものだったのですが、それを軽みのある、抽象的な表現に変えたところが新しいところです。
内部も細部のデザインまで考えられ、繊細な光のはいる美しい空間が広がります。
隈研吾はこの表現を広重の代表作東海道五拾三次に見られる雨の表現に関連付けて説明しています。これは新たな素材表現を、この美術館に適用させるための口上と言えるでしょう。
袋田の滝
袋田の滝は広重美術館からそれほど遠くないので、ついでに行ってみましょう。
日本三名瀑のひとつに数えられる滝で、幅73mの滝が4段に落下しています。
結構フラットな岩面を流れるので、滝の幅も広く、観覧テラスが滝の正面直近にあるので迫力満点で体験できます。
観光名所らしく、滝の周辺には茶店が多く展開しており、そこの有料駐車場を利用すれば手軽にアクセスできます。少し遠くに無料駐車場もあります。
ちょっ蔵広場・宝積寺駅
設計:隈研吾
宝積寺駅前につくられた施設です。解体する大谷石の石蔵を再利用して作られているそうです。物産屋やライブハウスが入っています。
大谷石をグラフィカルに透かし積をして、素材の重さを感じさせない表現にしています。スチールプレートを補強材としてうまく見えないように入れ込むことで、この積み方を可能にしています。軒裏も同様のグラフィックにすることで、よりコンセプトが抽象化して表現されています。
宝積寺駅も隈研吾設計です。
規模の大きくない駅舎なのデザインで工夫できる場所は少ないのですが、天井をデザインすることで、独特の空間を作り出すことに成功しています。
ローコストな建材である合板をひし形上に張ってデザインされています。ひし形のデザインは同じくちょっ蔵広場と合わせていますね。
非常にインパクトのあるデザインなので、撮影バエしそうです。
価格:7,315円 |
食事:宇都宮みんみん宮みらい店・宇都宮餃子館
宇都宮は餃子が有名ということで、夕食は餃子を食べました。
デザイン旅行ということで、今回は「宇都宮みんみん宮みらい店」に伺いました。
1時間ほど並んで入店しました。
こちらのお店は最近できたお店で、宇都宮餃子の老舗「みんみん」の新店舗になります。
インテリアには日光杉や大谷石を利用しており、栃木県の魅力を表現しています。
ソフトもタブレット注文、セルフレジ対応になっています。地元を代表する企業が、このように地元を盛り上げるようなチャレンジを行っているのは好感が持てます。ただ、餃子店に求めるカジュアルさ賑やかさに欠けているところが残念。
宿泊:ホテルマイステイズ宇都宮
宿泊はホテルステイを行うわけではなかったので、コスト重視でホテルマイステイズさんに宿泊しました。コストの割にはきれいでした。客室から宇都宮テラスを俯瞰で見ることができます。
益子陶芸美術館・旧濱田庄司邸
陶芸家濱田庄司は柳宗悦とともに民芸運動の主たるメンバーでした。
かれの自邸が保存されています。茅葺きの立派な民家でした。
インテリアは少し手を加えてあり、土間をなくして木床にしてありました。
ここに椅子を置いてサロンのように使っていたのでしょう。
陶芸美術館は、濱田庄司にゆかりのある陶芸家の展示が行われていました。
なかでも加守田章二の作品は非常にモダンで、民芸調の作品とは一味違ったデザインでした。
益子参考館
益子参考館は、旧濱田庄司邸の近くにあります。
濱田庄司が自らの作陶の参考として蒐集した品々が、自身の購入した古民家に展示されています。世界各国の民芸品、椅子、彫刻、家具などが展示してあります。展示館となっている建築物も立派な大谷石の石蔵や、長屋門であったり、こられもひとつの蒐集品といえるものです。
民芸が好きな方は建物含め充実した時間を過ごすことができるかと思います。
Starnet・pejite・陶庫
益子には陶芸品だけでなく、おしゃれな雑貨店もありますので、こちらも御覧ください。
starnetは有名なスタイリストの作ったお店で、雑貨とカフェの合わさったお店です。
アーバンリサーチにもこちらのお店の製品が納入されています。
古民家を改修した店舗でギャラリーの様なたたずまいです。オーガニックな食材、陶器、アクセサリー、衣類などが扱われており、楽しくショッピングができます。
pejiteはアンティーク家具店で、蔦に覆われた倉庫をリノベーションしてあります。
日本のアンティーク家具、シックなテクスチャの陶器、衣類などが販売されています。
日本のアンティークといっても和風ではない、無国籍な古民家家具という感じで、どんなインテリアにも馴染みそうなものが多いです。
陶庫は大きな陶器店で、多様な作家の作品が一同に見ることができて、店舗も木造の大きな建物で面白い作りになっています。多くの陶器店がならぶ益子のなかで、選びやすく楽しいお店の一つではないでしょうか。
道の駅ましこ
設計:マウントフジアーキテクツスタジオ
地元の農産物を売る直売所です。観光案内所、カフェなども併設されています。
地元の杉集成材を用いた大屋根で柱のない大空間を作っています。切妻屋根を連続させたデザインは周囲の山並みを想起させます。
カフェには特産のいちごや卵を利用したパフェやプリンなどがあり、大きな開口から見える田園風景を眺めながら食すことができます。
旅のスケジュール
今回の旅行は1泊2日にて計画しました。宇都宮駅まで電車で行き、そこからはカーシェアを利用して動きました。
1日目
東京〜宇都宮駅〜駅前ランチ〜カーシェア(駅前に数点あり)〜宇都宮テラス〜広重美術館〜袋田の滝〜ちょっ蔵広場・宝積寺駅〜宇都宮駅近辺で餃子夕食〜宇都宮泊
2日目
宇都宮駅〜カーシェア〜旧濱田庄司邸・陶芸美術館〜益子参考館〜Starnetでランチ〜pejite〜
陶庫〜道の駅ましこ(カフェも利用)〜宇都宮駅〜東京
まとめ
栃木デザイン旅行いかがでしょうか。
車が無いとスムーズな移動は難しいかもしれませんが、東京からも近く建築、陶芸、食事など楽しめるスポットが沢山あります。これに大谷石採掘場などの見どころも加えるとさらにバリエーションが増えていきます。
ぜひデザイン旅行の参考にしてみてください。
コメント