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本牧 旅行 (三渓園)

アート

神奈川県横浜市中区本牧。ここにオススメのデザインスポットがあります。

「三渓園」という庭園です。
和風庭園って「緑が一杯で落ち着く」とか「和のイメージ」くらいのイメージしかなく、なかなかデザインとして鑑賞するのが難しいと感じるジャンルではないかと思っています。

ここはそのイメージを覆してくれる庭園の一つだと思っています。
その詳細をご説明させてください。

三渓園全景

東の桂離宮!? 三渓園

京都桂に桂離宮という非常に有名な建築があります。20世紀初頭にドイツの建築家ブルーノ・タウトがその美しさを絶賛してから、日本の建築美の精華として扱われています。

世界に出る日本の建築家は皆、桂離宮について自分の自出のひとつとして影響やコメントを求められるくらいに世界的にも有名です。

三渓園はそのような桂離宮に似ている、ということです。

桂離宮

https://garden-guide.jp/spot.php?i=katsurarikyu

俄然見てみたい気がしてきますよね!

桂離宮は非常に貴重な文化財でもあるため、見学には宮内庁に予約をして、時間制限があるなかグループでの見学しかできない施設です。よって遠方からの見学はなかなかハードルの高い施設です。
それに比して三渓園は少しアクセスが悪いですが、横浜から簡単に行くことができ予約もいりません。

、、、これは行くしかないです。笑

三渓園とは

東の桂離宮と言われる三渓園。横浜市の実業家 原三溪によって明治時代につくられた日本庭園になります。庭園の造成に合わせ、日本東西の価値の高い建築を移築してきたようです。国の重要文化財建造物10棟、横浜市指定有形文化財建造物3棟を含め、17棟の建築物が配されています。

原は庄屋の家に生まれたとのことで、幼い頃から絵、詩文の素養があったようです。幼い頃から様々な美に触れてきた原三渓。好事家の行きつく先は普請道楽。このような庭園をつくるのは必然のことなのかもしれませんね。

旧矢箆原家住宅(やのはらけじゅうたく)(合掌造り) 内部の見学もできます。薄暗い室内に黒光りする柱は美しい

三渓園の見どころ

では三渓園の見どころとはどこでしょうか。どこがデザインとして優れているのでしょうか。建築士としての目線で解説してみたいと思います。

建築が良い

三渓園では上述したように、風光明媚な本牧の土地に17棟の建築物が配されています。
その多くは既存の建物の移築になります。

鶴翔閣 三渓が住まいとして建てた建築。車寄せ部分もこのように茅葺きで作られている。

新築を作るのではなく、古い価値ある建築を移築して新しい庭と組み合わせる創作方法は、茶道で井戸茶碗を重用したこととも似ているし、ヒップホップのサンプリングにも似ていると感じます。三渓園の創作のされかたはとても興味深く、洒落た創作方法だと思います。
ただただ自分の好きな建築を新たに建てるより、既存建物の持つ歴史性やコンテンツを持ち出すことができる分、庭園としてのコンテンツの密度に深さが出て、かつオリジナルのものを作りたいというエゴも消すことができます。

建築は鎌倉や京都の歴史的建造物や、古民家が移築されています。
どの建築も味わい深いのですが、白眉は次に挙げる臨春閣だろうと思います。

臨春閣

臨春閣は江戸時代に建築された数寄屋風書院造りの別荘建築です。内部には狩野派の絵師による障壁画や洗練されたデザインが各所に見られるそうですが、内見はできませんでした。

建物は隣接する池を囲うように配置されています。ジグザグ雁行した既存建物に合わせて池を形作ったのでしょう。建物を雁行させることで、建物にリズムができ、単調さを回避しています。それぞれの屋根も向きや形状を変えています。有機的で重厚な屋根と比較し、屋根から下の部分はすべて窓、開口になっています。壁が全く無いので、屋根が浮いているような浮遊感を作り出しています。また、柱や建具の桟など構成する要素がすべて水平垂直でできているので、モダンな印象も与えます。

臨春閣

臨春閣に隣接する月華殿も丘の上のロケーションに配置され、石段を登りながら見上げてアプローチさせる感じは見事です。

月華殿

庭園が良い

建築と庭園の結び付きも素晴らしいです。この辺りが東の桂離宮と言われる所以かと思います。

特に臨春閣は、雁行する建物のリズムと、有機的な形状の池が一体となっています。建物が池にせり出した構成になっているので、池の上に浮いているかのような印象もあります。私は北欧の建築家アアルトのマイレア邸を連想しました。マイレア邸もL字の建物に沿って有機的な形状のプールがレイアウトされています。ただ残念なことに内部には入れません。他の建築も茶室が多いため、狭く内部を傷つけてしまうからでしょう、内部に入れる施設は少ないです。

臨春閣

聴秋閣では、なんと小川の中に建物が配置されており、飛び石を超えてアプローチします。

聴秋閣

上記のように、三渓園ではただ古建築をコレクションしているのではなく、その建物にあった庭園・ランドスケープを設えて配置しています。そのように全体がデザインされた庭園でこれほどの規模のものは稀有と思います。

まとめ 三渓園はおすすめのデザインスポットです

いかがでしたでしょうか。建築と庭園が有機的に結合された、デザインされた庭園、三渓園。デザインに興味がある方はぜひ訪れてみてください。

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